大原三千院の参道を下る。さて、どこで柴漬けを頂こうか。
そう思っていたら陽気で口述巧みなおじさんに呼び止められた。京漬物の志ば久。

あれもこれも。酸っぱいのが好きならこれ。だめならこれ。あっ、これも食べてみて。
美味しさと巧みなトークでたたみかける。
春の味。蕗味噌ふる里の味。買ってしまう。ご飯減らしの友である。
柴漬けに、柚子大根を頂くと、おじさんは取っておきの桜は見たかと言う。
指差す方へ小路を上れば一面の菜の花畑が広がっていた。
ここはおじさんの花園なのだそうだ。
椿が赤い花で空を飾っている。ここはどこなのだ。
なだらかな山々が春に霞んでいる。夢のような風景。
秘密の桜の園。言葉にならないほど美しい。なるほどおじさんの言葉に偽りなし。
この丘には手動販売機があって下の大原名物志ば久アイスきゅうりが籠に乗って運ばれてくる。

志ば久の漬物には、とびきり美しい桜が隠れていた。
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